ご挨拶
会主 鶴賀若狭掾 鶴賀流十一代目家元
新内浄瑠璃 重要無形文化財保持者(人間国宝)
新内の元祖たる初代鶴賀若狭掾が生誕して本年は数え年の300歳に当たります。
初代の節目のお祝いの会を開催出来ます事は、11代目の私にとりまして誠に幸運であり、此の上なく光栄な出会いの一期であると感激をしております。
新内が初代以来、多くの後継者を経て発展を遂げ、伝統音楽として脈々と現在に受け継がれています。
創始者がいてこそ流派が存在します。
本日の新内演奏会は初代の作品を主に、大いなる感謝を込めて、初代に捧げ誠心誠意一曲入魂の心で、偉大なる新内の始祖を讃えたいと思います。
また弟子の鶴賀伊勢吉は、永年弛まざる鍛錬を重ね修業に励み、この処著しい芸の上達を認めて、この節目に鶴賀流の継承者としての自覚のもとに、鶴賀流の分家家元に取り立てる事と致しました。
鶴賀流の正当なる芸の習得伝承はもとより、向後益々芸道精進に命を懸けて取り組まねばなりません。
私同様に今後ともご支援ご叱責賜りまして、大きな芸人にお育て下さいますようお願い申し上げます。
ここに過去・現在・未来が一堂に会し、鶴賀の系譜を見るような会となりました。
目出度きこの演奏会に多くの諸先生方のご出演を賜り、素晴らしい舞台を飾って下さいます。
義太夫節人間国宝の竹本駒之助師匠、若柳壽延家元さん、清元梅寿太夫・紫葉師ご夫妻、花柳貴比さん、大谷祥子さん、八王子車人形の西川古柳座の皆さん、望月朴清さんとその社中。
新内協会から人間国宝の新内仲三郎師を始め理事の皆さん方の真心ある応援ご支援を賜っています。
そして講談の一龍斎貞心師と藤間仁章師のお二人が会の進行を楽しく盛り上げて下さいます。
永年の私のご支援後援者、ご贔屓の皆様の多大なご尽力を得まして本日の会が開催出来得ますのは誠に有り難い事と、私はじめ私の門弟一同と共に深く感謝を致しております。
因みに本年は私の師亡父鶴賀伊勢太夫の45回忌、母親の30回忌に当たります。また江戸の絵師「伊藤若仲」と「与謝蕪村」の生誕300年にも当たります。
重ね重ね因縁を感じる年であり誠に感激も一入でございます。
私も少し年を重ねましたが、体調に留意してまだまだ新内道に打ち込み続けます。
今後とも宜しくお引き立ての程御願い申し上げます。
本日は初代鶴賀若狭掾師の300歳の誕生日祝いの会として皆様と一緒に楽しく祝したいと思います。
皆様には晩秋の好日、ご多忙の中をご来駕賜りまして心より厚く御礼申し上げます。
どうぞごゆるりと終演までご鑑賞下さいますようお願いを申しあげます。