Part III 新内鑑賞会 令和元年6月1日
始祖元祖の言葉は尊い
新内協会理事長・新内節人間国宝 鶴賀若狭掾
義太夫の元祖である竹本義太夫の遺した有名な言葉に【口伝は師匠にあり稽古は花鳥風月にあり】があります。芸を修行会得する人にとり誠に深遠なる教えです。
新内節の始祖である初代鶴賀若狭掾の自筆の現存する掛け軸には【自他並木風聲に至る迄調子なき物はない 古人は馬のさけび雷なくを聞き 時鳥の一聲にて世の中を知ると有る… 云々】とあります。
自然と対峙し自然を感じ五感を研ぎ澄まし、自然から学ぶべしと両始祖が述べています。古典は師より教授伝授され、その上森羅万象に心を寄せ、感性を豊かにして修行し、己の肉体と精神を磨き芸を鍛錬せよとの教訓でしょう。一流派を創造し超一流を極めた元祖始祖の言葉には重みがあります。この意味深長な言句は浄瑠璃の世界のみならず、文化芸術全般に妥当する究極の教えといえます。
新元号に改まった本年に、過ぎ行く昔に思いを馳せる「温故知新」。
生涯極める事の出来得ない芸道に研鑽を積み続けたいと願う日々です。
本日はご来場賜りまして誠に有り難うございました。