google-site-verification=WX0UZE5bIY2_kg8nHDslVamAicMdt2SjyGf_CCUgbFM

川と人の世

鶴賀若狭掾
鶴賀流11代目家元(会主)

「ゆく川の流れは絶えずして しかも元の水にあらず……」
鴨長明の『方丈記』の冒頭の、人の世の無常観を表した一節です。
川は水、水は命の根源で万物の命の母。儚い無常の人生は水に生かされる。その水が人の世を彩り創りそして物語を生む。豊かな水の流れが人を生かし楽しませ苦しませる。
苦楽の川の物語三題をテーマとした今回の演奏会。
日高川を舞台の安珍清姫『道成寺』と、隅田川(大川)端の柳橋を舞台に繰り広げる『酔月情話』と、男と女の嫉妬と恨みの作品の二題。
本年、没後100年の森鴎外作の『高瀬舟』。京都市中を流れる高瀬川、罪人を乗せて走る高瀬舟。現代に通じる欲と安楽死の物語は永遠の課題。考えを一つ変えれば人生は変わる。人生の岐路は常に身近の存在です。
師走を控えた季秋のひと時、終演までごゆるりとご鑑賞ください。本日はご多忙の中、ご来場賜りまして誠にありがとうございました。

令和4年11月24日

Copyright © Tsuruga Wakasanojo, All Rights Reserved : ver5