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「時分の花」と「真の花」

新内協会理事長 鶴賀 若狭掾

4年に一度のスポーツの祭典であるオリンピックも華やかな中に幕を閉じました。
オリンピックは参加する事に意義があると言われるが、近頃はメダルを取る事に意義があるように変わって来たと感じます。
選手の育成に国が金をかけてメダルの奪取に威信をかける。オリンピックもアマチュアリズムから逸脱して来た様相を呈してきたが、それでも若者アスリートの純粋崇高なスポーツ祭りであるから楽しさも華やかさもあります。
芸の世界は子供の時から修業鍛錬稽古を積んでも、熟達した完成度の高い芸は若い世代では難しいようで、そのところがスポーツと芸の相違点です。
能の世阿弥の「風姿花伝」の(年来稽古)の著述中に、「時分の花」と「真の花」とを規定している。
若さによる美声や風姿等の一時的な華やかさと、修業によって身についた真の花との区別をしています。
即ち自分の芸に対して客観性を持つ事が必要で、若手の多くはこの一時の花の成果に惑わされている。このことを知らなければならぬと戒めている。
若さの持つ艶と美、可能性の魅力はあるが、若い時分の修業の重要性を説いています。
文化庁補助を受けてのこの若手伝承者研修発表会が、新内を継承する若手演奏者の真摯なる姿勢で芸と取り組む事に依って、芸の向上と新内発展の場となり、「真の花」が咲く基盤となる事を多くの方々が期待し、私達新内協会も大いなる期待をしています。

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